漆喰で塗られた壁は白く美しいということで、世界中で親しまれています。
しかし時にはひび割れしてしまうこともあり、「せっかくの美しい壁が台無しだなあ」と感じたことがある人も多いでしょう。
漆喰壁を塗る際は、ひび割れないようしっかり対策しておきたいですよね。
この記事では漆喰壁がひび割れしてしまう原因と、その予防策を分かりやすく紹介します。
<この記事のポイント>
- 漆喰がひび割れする原因が分かる
- ちょっとした塗り方のコツで対策できることが分かる
- 漆喰を塗る季節も重要だということが分かる
漆喰壁にひび割れができてしまう3つの原因
壁のひび割れは専門用語でクラックと呼ばれますが、特に漆喰壁でよく使われる言葉です。
それくらい、漆喰壁はひび割れやすいということ。
ひび割れができる主な3つの原因を紹介していきます。
1. 急激な乾燥による収縮
漆喰は空気中の二酸化炭素や水蒸気(湿気)を吸収・放出する性能(吸放湿性能)を持っています。
壁に塗った後、吸湿と放湿を繰り返しながら少しずつ乾燥することで美しい漆喰壁が完成します。
しかし急激に乾燥すると、収縮のスピードに耐えかねてひび割れが起きてしまうことがあるのです。
ドライアウトとも呼ばれるこの現象は、意外にも湿度の高い夏によく発生します。
日本の夏はジメジメして湿度も高いですが、実は室内は冷房により乾燥しやすい傾向があります。
外壁であれば強い日差しを受けますから、こちらも乾燥しやすい環境になるのです。
また、吸水性の高い木材を下地にした場合も、木材が漆喰の水分を急速に吸ってしまうことで急激に乾燥し、ひび割れてしまうことがあります。
2. 下地の木材の収縮・膨張
木材を下地にする場合のひび割れ要因は、吸水性だけではありません。
それは、木材にも湿度を調節する機能があり、季節によって水分の含有量が変わること。
水分の含有量が変わる、つまり木材は膨張・収縮するのです。
下地が膨張や収縮で形を変えれば、表面の漆喰はどうしても割れやすくなります。
3. 工事などによる振動
地震で壁がひび割れるという可能性は、誰しも想像できるでしょう。
しかし、大きな地震が起きていなくても、近隣の道路工事の振動が影響することもあります。
詳しくは物理学の難しい話になってしまうのですが、小さな振動の繰り返しでも壁にひびが入ってしまうこともあるのです。
この現象自体は漆喰壁に限ったことではないのですが、漆喰は乾燥など別の原因が重なることもあるため、特にひび割れしやすいというわけです。
漆喰壁のひび割れを防ぐ有効な3つの対策

では、漆喰壁のひび割れを防ぐことはできるのでしょうか?
3つの有効な対策をご紹介していきます。
1. 漆喰を塗る時季を選ぶ
夏は日差しも強く、漆喰の水分が一気に失われてしまうので避けるのが無難です。
また冬は漆喰が持つ自硬性(自然と固まる性質)を発揮しづらく、理想的なスピードで固まらない場合があります。
目安として、5度以下の気温であればひび割れやすくなってしまいます。
工事をそんなに待てない、と思われるかもしれません。
しかし漆喰の寿命は数十年。
1~2ヶ月待つことで品質が向上するなら、考えてみる価値はあります。
2. 厚く塗り過ぎない
漆喰の体積(量)が大きいほど、収縮による変動率が大きくなり、ひび割れしやすくなってしまいます。
つまり、「厚く塗りすぎない」「塗る面積を広げない」ということがポイントです。
しかし面積は変えようがないので、実際には厚塗りに気を付けるしかありません。
漆喰にはそれぞれに標準の厚さがありますが、現代では1~3mm程度で塗られることがほとんどです。
薄いと逆に調湿性能などを発揮しにくくなるので難しいところですが、DIYなら2mm以下に抑えるとひび割れにくいでしょう。
3. 下地に応じてひび割れ防止剤を使う
下地が吸水性の高い木材になる場合は、ひび割れ防止材の利用も有効です。
シーラーと呼ばれるペンキのような調整液がよく使われていますが、下地の吸水性を抑えることで漆喰のひび割れや変色への対策が可能です。
まとめ
漆喰は寿命の長い壁材なので、乾燥などひび割れ要因にはよく注意して長持ちするように使いたいものです。
ひび割れの原因と対策はもう頭に入ったことと思いますので、実践あるのみ!